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風は荒れ果てた大地の言葉を待っていた。

「さあ、大地よ。約束の時が来た。お前の返事を聞かせてくれ。」

地表に遺された愛しい花の種を見つめていた大地に、

風の言葉は天から打ち降ろされた鉄槌のように冷たく響き渡った。

だが、約束は守らねばならない。


荒れ果てた大地は震える声で風に告げた。

「種を…豊かな土壌まで…運んでくれ。」

「わかった。」

風はその大きな袂に種を掬い取り飛び去って行った。

荒れ果てた大地の未練を断ち切るように。


一人残された大地は苦しんだ。

毎日毎日泣き暮らした。

数千年もの間、取り巻く自然の成り立ちを

ただ受け入れて静かに生きてきた。

これほど涙を流す事など一度も無かった。


荒れ果てた大地は、風に願いを打ち明けた事を後悔した。

何も願わなかったら、こんなに苦しむ事も無かっただろう。

こんなに悲しむ事も無かっただろう。

花の愛らしさを思い出すたびに、心が引き千切られるように痛かった。


願いを打ち明けた時に、風が出した条件、それは・・・

「最後が訪れた時、真の願いとは逆の『決して望まない事』を言え。」であった。


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