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「私はもうすぐ枯れてしまうの」と、ある日の夕刻に花が呟いた。

藍色の夕暮れが花の言葉をくっきりと浮かび上がらせ、

荒れ果てた大地は絶句した。


こんなに早く枯れてしまうなんて…。

数千年という時を生きて来た大地にとって、

花の命はあまりにも儚かった。

しかし大地には花を生き長らえさせる栄養などない。


「私は枯れてしまうけど、一つだけ種ができるの」花は少し嬉しそうに言った。

荒れ果てた大地は遠くを見つめ、長い沈黙のあとでこう言った。


「こんな所で咲いて寂しくは無かったか?」


すると花はこう答えた。

「山の向こうでは沢山お花が咲いているわ。

私には花達の笑い声が聞こえてくるの。

だから沢山の幸せをみんなにあげられる。

でも、ここで大地さんを幸せに出来るのは私しかいない。」

それを聞いて荒れ果てた大地は涙した。



翌朝、花は最後に微笑むとスウーッと花弁を閉じた。

風がやってきて一吹きすると舞い散った花のあとに、まあるい紅い種があった。
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