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僕はもう本の事など頭から飛んでいた。

こんな不思議体験をしたら誰だってそうだろう。

あれは何だったのだろう?

超常現象ってやつなのか? 


「落ち着け!」と混乱した頭に言い聞かせたけれど、

僕の全身は、ドキドキと激しく波打つ鼓動と耳鳴りに支配されていた。



かなりの時間を使って、僕はいつもの僕に復帰した。

そして、子供の頃から何度も駆け込んだ僕だけの『混沌の部屋』に入り

いつもの椅子に座って目を閉じた。



薄暗いモノクロームの世界。

長く遠い道がある。

目をこらすと道の真ん中に銀の糸が見えた。

僕はそれを捕らえようと手を伸ばす。

光る糸は消える事もなく、

まるで待っていたかのように僕の指先に絡みついた。

そして銀の糸は僕の脳にイメージを送り込む。


『なつかしい におい』


何だろう?

何か僕にとって優しく温かい『何か』が持つ『気配』の匂いだ。

僕は記憶の引き出しを順に開けて行く。

わずかな気配のイメージを手探りで探すのは難しい。

それでも僕は引き出しを開け続けた。


「!」


ある引き出しを開けた時、ふいに全ての引き出しが強制的に閉じられた。

頭の中が真っ白になった僕の背後で、さっき森で感じた微かな物音を聞いた。


振り返るとそこに、女性の顔があった。



僕は瞬間的に顔を背けた。

これは僕が極度の照れ屋だとか、実は同性嗜好だとか…では無い。

(僕は自分の習得語彙の絶望的貧弱さを呪った。

目の前のrealityを文字で表わす事がうまく出来ない)


彼女には、およそ人とは思えない美しさが備わっていた。

それは外見的な全てと、内から滲み出る彼女自身の誉。

その二つが合わさって凄まじいオーラが出ていた。

つまりは眩しくて見続ける事が出来なかったと言うわけだ。


―それともうひとつ。『僕自身を見せてはいけない』と言う理由から―。



僕は…『一回見たら決して忘れられない顔』 を持っている。




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